昨年の11月半ば、わたしは青物シーズンが終わりを迎えることに危機感を覚えていた。
カツオの当たり年とはいえ青物らしいターゲットは田子港で痛恨のワラサのバラシのみだったから、ヤバい・ヤバいと思いつつも中々青物が狙える漁場に行けなかったから、頭の中は常に青物が泳いでいるような状態だった。
両軸遠投カゴ釣りで青物だったら西伊豆だろ、ということでお決まりの静浦や戸田には何度か出撃していたもののなかなか釣果に恵まれずにいた。
そんななか足保港でイナダが出ているという情報を聞きつけ、いてもたってもいられずすぐさま足を向けたのが11月半ばだった。
東名をかっ飛ばし、4時頃に到着したもののすでに奥の駐車場には数台の車が停まっていた。
さすが人気堤防だ・・・。
イカ狙いの人が多いのか、竿をシャクる音がヒュンヒュン聞こえていた。
静浦だとなぜかルアー釣り禁止だからこの音は聞こえないのね 笑
足保港は堤防の付け根から真っすぐ30mほど堤防が伸び、そこから右に90度折れ曲がって100mほど伸びる堤防になっている。
堤防左側奥から、角付近がメインポイントで水深も狙えることから大抵場所取りのクーラーボックスが並んでいるんだけど、案の定今回もクーラーボックスがみっちり並んでいた。
こういう場所の取り方って仕方ないなぁと思う部分もあるんだけど、基本的に物で場所取ってるからその場に人はいないんだよね。
釣りしてないなら現在進行形で釣りしてる人の邪魔すんなよと思うんだけど、どこ行っても見る景色だからもう何も思わくなってしまった。
2、3人くらいなら全然許容範囲なんだけど、10人以上の団体とかで一斉に横並びで何時間も場所取りするような人たちって堤防を自分の所有物とでも思ってるのかね?
後ろの狭いスペースに追いやられてる家族連れの釣り人とか見てるとすごく心苦しく思うし、なんだかなぁなんて思うんだけど。
その日は運よく角近くが空いていて、そこに入ることが出来た。
西伊豆の青物は時合勝負で、朝マズメの時合を逃すとパッタリと何も釣れなくなるからなるべく人より先にオキアミを打って魚集めとくのが有利だったりする。
別に自分は秘密主義ではないので釣れたポイントは教えちゃいます。
角から右に5m付近で潮の流れも考慮して少し右目に90m投げたあたりがポイントです。
青物って結構決まってる場所を回遊するから、ポイントを絞れるとそこ狙ってれば釣れるっていう強みがあるよね。
5時くらいからオキアミを打ち始め、小っちゃいイサキやらネンブツダイが出始め、海面にうっすらと日の光が差し始めてきたころウキにもぞもぞと変なアタリが連発するようになってきた。
足保港って手前にイサキの瓜ぼうがいっぱい群れてるんだよね~。
6時を超えたあたりで、ようやくウキに大きく反応がでるようなアタリが出始め、これは青物が回ってきたのではないかという気配がではじめた。
そんな重要な局面で、自分の右隣の狭いスペースに3人の高校生風のルアーマンが・・・
なんか微妙にスペースが空いてたから、誰か入るだろうなということは予想していたのだが、まさか3人入ってくるとは・・・・・
言っちゃ悪いですが、“お前それじゃ絶対釣れないぞ”っていうタックルだったからせめてお祭りだけは勘弁してね、と願っていたわけなんですが、こうやってわざわざ書いてるってことはそういうことなんですよ。
えぇ、えぇ、すでに投入してる仕掛けの上をXクロスのように飛び越えてルアー投げるもんでですね、時合の真っただ中でお祭りしちゃったんですね。
こいつ、釣りしにきたんじゃなくて、ただただ俺を邪魔するためだけにやってきたんじゃないの。
しかもこれから出そうって時に。
よくみたらPEライン使ってるし、絡みとれないし。
流石に自分のミスでお祭りしてるってことくらいは分かってるから、「仕掛け切っちゃうんで大丈夫です」っていうから、お任せしちゃったけど。
せっかく魚集めてたのにチクショー!ってド遠投してたら、きちゃったんです魚が。
あぁ怪我の光明というか、災い転じて福となすというか、なんていうんだろこういう状態のことわざ。
とにかく、運が一転して好機に傾いたわけです。
竿がぐぅ~んとしなり、下に突っ込むようなアタリでジリジリと手前によせる。
それまでデカいアタリは周りでもなかったから、周囲の視線が一気にこっちへ向いている。
剛弓が良い感じに弓のようにしなってる。
ようやくウキ止めが見え始めてもまだ下に突っ込もうとするから、姿がなかなか現れない。
丁寧によせているとようやく魚体が姿を現し始めた。
最初はマダイかと思っていたのだが、“色見たら分かる、青い奴(イナダ)やん”。
もう自分が用意する前から左隣のイカ狙いの方がタモを構えていてくれたおかげですんなりとあげることができたんですね、ほんとありがたし。
右のルアーマン横目にうひゃひゃひゃ、ほえほれ~ぇ、なんて嫌味なことはせずに淡々と針外して血抜きしましたよ。
それはそれは淡々としていましたが、なぜかルアーマンの表情は悔しさに溢れていましたね。
サイズは55cmでした。
ここで一喜一憂していられんぞと、更なる連投を重ねるとなんと2投目にして先ほどとは明らかに格の違う強いアタリが。
剛弓が竿の中ほどまでしなっている、これは間違いなくワラサ、いやブリクラスだ!
ひゃっは~!なんて浮かれずに淡々と横目でルアーマンを見ながら寄せていたんですが、途中ですぅ~~っと引きが無くなってしまった。
再度タモを構えてくれていた左隣の方も、あぁああと残念な表情に。
そして右隣のルアーマンはどことなく嬉しそう。
痛恨の針外れだった。
一気にヤル気が無くなった。
こういう心情って魚にも届くんですよホント。
その後は全く、パッタリとアタリが無くなってしまった。
まぁ時合勝負の短期戦だから1匹出ただけでも良しとしようじゃないか、念願の青物だったし。
あの引きのバラシは痛かったけど、横のルアーマン何も釣れてなかったしねムハハハ(←嫌な奴)。
ムハハハハハハハハハハ・・・・・・
・・・・・
えぇ、結局あの引きが無性に後を引いてですね、翌週にもう一回行っちゃったんですよ。
全く同じ時間に全く同じポイントで。
そうしたら全く同じ時間帯に、あの引きがやってきたんですね。
やはり、このポイント回ってる。
今回も左にいたカゴ師の方が良いタイミングで気づいてタモ出してくれまして、その人も「良い型ですね~」なんて言うくらいの文句なしのワラサ。
サイズは67cm。
50のクーラーボックスに入りきらんぞコレは。
でっぷり太っていて、この前のイナダに比べて美味しそう。
ほんと朝だけに狙いを絞った短期戦だったけど、狙い通りにターゲットを仕留めることができたから、その日各々1匹だけの釣果にしては満足度の高い釣行だったかな。
ここでやめときゃよかったのに、その翌週メンバーを引き連れて行ったらあのポイントが埋まっていて、悲惨な結果に終わったことは忘れたいんだけど。
また青物欲がうずきだしたら行こうかな。
最後に、棚は竿2本ですよ奥さん!!
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