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執筆者の写真籠師会

両軸遠投カゴ釣り界で噂のトロロケット現る。伊豆大島で美味しいお魚は・・・



 昨年11月、ワタシはミヤナガ氏から昨今両軸遠投カゴ釣り界で噂となっているAbu・トロロケットを“定価”で入手したという情報を聞きつけた。


「あの入手しづらいトロロケットをどうやって“定価”で手に入れたのだろう・・・」と訝しんでいたのだが、とある量販店の通販で入手したと聞いてワタシは開いた口が塞がらなかった。


情報を聞くや否や間・髪を入れず注文しようと店のダイヤルボタンを押そうかという寸前で我に返ったのは、入手困難とはいえ仕様的にはWM60・ビッグシューターと変わりないじゃないか・・・ということを思い出したからだ。


去年話題にはなってたし、仕様も出てたから比較はしてたんだけど、変わってる点はドラグが強化されてたくらだったかなという印象だった気がする。


ワタシは我に返ってWM60とトロロケットを比較し始めたのだが・・・







外観比べてみても、何が違うのかさっぱりわからない。


レベルワインドの穴がちっさくなった?くらいしか分からん・・・


多分“型”は一緒だからWM60のパーツ全部流用できるはず。


内部的に違う点はまずボールベアリング数。


WM60が6/1でトロロケットが5/1だから1個減っちゃってるね。


あとは最大ドラグ力。


WM60が10kgでトロロケットが12kg。


ちなみにメーカー本体希望価格はWM60が37.000円でトロロケットが32.000円なんだね。


まぁ新しい型じゃないしベアリングの数も減っちゃってるから値段は抑えめなんだろうけど、それでここまで値段落とせるんならWM60の初期価格設定って高過ぎじゃない?と思ったんだけどどうだろう。


アブの価格設定ってイマイチよくわからないんだけど分かる人いるかなぁ。


例えばAmazonで聞いたことのないメーカーの激安ベイトリールが話題になってたりするけど、意外に部品しっかりしてるし壊れないし高級感あったりするのね。







国産メーカーのいいとこどりみたいなデザインのベイトだけど、これ値段5000円もいかないんだから驚いちゃうよね。


このモデルの大元だったであろう国産メーカーモデルは59800円よ!?


製造は国産でも部品は中華ってのが多いから型をパクられて部品は一緒の激安商品が生み出されるわけだが、組み立て精度や部品の精査はしてないだろうから個体の当たりはずれは確実に多い。


まぁそこんとこの安心感をメーカーから買ってると思えば・・・と思っても差がありすぎる気がする。


多分5000円のやつを3つ買えば1つはアタリがあるんじゃなかろうかって考えるとお得だけど、もうこれはギャンブルだもんね。


って考えているとですよ、えぇえぇ、ますますアブの価格設定が分からなくなってくるわけですよ。


国産メーカーほど高くないし、知名度の低いメーカーほど安くもないってのもね。


挙句の果てはカゴ釣り界で需要が高いおかげで、新モデルのくせに在庫が無くて右巻きだけ定価を上回った価格で市場に出回ってるっていう。


Amazonだと定価+12000円、Yahooショッピングだと定価の倍なんて値段のもあるからね。


だから速攻で注文しようと思ったワタシの気持ち分かるでしょ・・・。


ま、でもWM60の在庫はあるし、ここはミヤナガ氏からインプレを聞いて買おうかどうか悩んでみてもいいんじゃないかってことで今回の釣行に臨んだわけね。




 10月終わり、東海汽船のターミナルに集まったのはトロロケットを新調したミヤナガ氏にくわえ、前回イングラム遠投を新調したナカムラ氏とワタシを入れた3人である。







いつもは夜船のフェリーに乗って翌日の朝マズメ直行というのが多いのだが、今回はGo to Travelツアーの都合で朝イチの高速船で向かうこととなった。


岡田に着いた頃には時合いを大幅に逃していたが、たまにはこういうお気楽釣行があってもいいじゃない、いいじゃない。


Go Toのツアーによって激安価格でツアーを組んでいたため、宿はランダムで予約していたのだが、まさかの籠師会常宿である八幡荘にあたったもんだからいつもと変わらない釣行となったのは幸いだった。


さっそく餌のオキアミや集魚剤などを取り揃え、いつも真っ先に向かう泉津の地磯へと向かった。


草木生い茂る激狭の入り口を軽自動車でうねうねと進んでいくと車を止めるスペースがあるのだが、すでに車が2台停まっている・・・


嫌な予感しかしなかったが、実際釣り場に人が入ってるかどうかは分らんし、とりあえず釣り場を望める場所から様子を見てみよう。


嫌な予感は的中するものだ・・・磯場までの険しい道のりがゆえあまり人の入りの少ないポイントなのだが、この日は団体さんにポイントを全て占拠されていた。


このポイントは必ず押えられるものだと思っていた我々は出鼻をくじかれた形となり呆然としてしまった。


もし前日の夜船できていれば車を最速で調達できる我々は誰よりも早くポイントを押さえられるのだが・・・こうなっては仕方がない、この場所から近くて釣果が望めるポイントを探さねば。


まぁここがダメなららあそこしかないなっていう目星は付いてたからさっさと移動しちゃったんだけど。







この駐車スペースを見てピンとくる人は裏磯マニア!?


こっちは入りやすくて人気のポイントだからすでに車停まってたんだけど、広いしすぐ様子見れるからとりあえず釣り場の様子を見に行くことに。


正面奥はルアーマンで埋まっていて入れそうになかったが、右手奥の泉津港を見渡せるポイントはなんとか入れそうだった。


時間も押しているから今回のスタートはここ“オオツクロ”からの開始となった。







駐車場から歩きやすい林道を20秒も歩けば磯場が見えてくる。


磯場まで特に高低差は無くすぐにアクセスできるが、磯場に入ってからは高低差のある岩場をワシワシ登って行かなくてはならない。







磯場が見えると右手に泉津港が見えてくる。


泉津港を見ながらやや左手に仕掛けを投げる感じだが、こっちに投げるのは初めてだしうまく棚がとれるかどうか・・・


場所が決まったところで早速釣りの準備でも始めようかというその時、ミヤナガ氏のリールケースから現れた例のトロロケットを目にすることとなった。







艶消しレッドの色合いがイングラムレッドエディションと全く一緒!!笑


これセットで売られてても誰も疑わないんじゃないかと言うレベル。


持ってみた感触はまんまWM60だからあまり驚きはなかったけど新品でヘタってないから動きはカチカチっとしてるしタワミもないから新しいなぁって感じだね。


新調リールを用意してるミヤナガ氏の奥でナカムラ氏もカゴ釣りを開始したようだ。


オオツクロは磯から海面までの高さがあるところが多いから遠投カゴ釣り向きのポイントではない。


ただ釣れる魚は一級品揃いの人気磯だけに期待は膨らむ。


ワタシは寄せ餌の要領も兼ねて6分程度の力で仕掛けの投入を開始した。


2、3投目あたりからウキをはじくようなおかしなアタリが続いたかと思うとハリが無くなっている。


嫌な予感満載だったがハリを付け替えて投げた次の一投。


“モシッ!!!”という鈍い音とともに竿を振り切る前から上空に飛んでいったワタシの仕掛け・・・


仕掛けは道糸を離れてウキとカゴだけがスーッと前方に飛んでいった。


ワタシがバックラなんてするわけな・・・・まさか!?・・・竿先が折れたわけでもなさそうだ。


見れば途中から切れた道糸が竿先をフラフラと漂っていた。


道糸にダメージが入り、まさに仕掛けが飛ぶ直後に限界を迎えた感じだった。


道糸にダメージを与えた犯人は勘の良いひとならおわかりだろう。


“フグ”だ・・・・・・・・


フグが道糸とハリスを齧っている。


ワタシはお気に入りの仕掛けが丸ごと飛んでいくのをただただ見ていることしかできなかった。


カゴ釣り師なら一度は訪れるこの無念さ。


ワタシの士気は半分以上ガッサリフグに持っていかれてしまった。


次の仕掛けの準備に取り掛かったが気が気ではなかった。


オオツクロの磯はもうフグに占拠されているのではないか? 太く目立つ遠投カゴ釣り用ナイロンを使えばまた同じ事態が発生することは目に見えている。


ワタシは失ったものを取り返すかのように新たな仕掛けで釣りを開始したが、こういう感情は往々にして裏切られるものである。


ウキに反応がないまま仕掛けを回収しようとするとどうにもこうにも仕掛けが軽い。


見ればウキから下が無くなった仕掛けがヒラヒラと漂っていた。







天秤から上の道糸をフグに齧られカラマン棒のおかげでかろうじで助かったウキ。


短時間で2つも仕掛けをロストするなんて・・・


ワタシはこの時点で半分残っていた士気を全て失い、ミヤナガ氏とナカムラ氏の釣りをボーっと眺める羽目になった。


二人はその後も高低差のあるオオツクロの磯に難儀しながらしばらく仕掛けを投入していたがウキに反応はなく渋い状態が続いた、


ワタシは仕掛けを作る気力もなく釣りを諦めていたが、まもなく二人も釣りを諦めオオツクロの磯を後にすることにした。



 


 オオツクロでお昼の時間と仕掛けを無駄にしてしまった我々は遅めの昼食を取ったあと宿で泥のように休んでいた。


夕マズメは朝イチ入ることのできなかった泉津の地磯にリベンジしようと意気込んでいたが、まだ空いているかどうか分からない状態だけにずっとモヤモヤした状態が付きまとっていた。


もし空いていれば夜釣りもそこでするつもりだから、全てはポイント次第なのだ。


重い腰をあげながら、望みを捨てず我々は宿で早めの夕食を取り泉津の地磯へと向かった。







夕マズメのはずだったが、あたりはすでに真っ暗になっており、さすがに停車場に車は無かった。


車も無いし磯には誰もいないだろうと公算が付いた我々は車から道具を降ろし始めた。







ヘッドライトを頼りに磯場までの崖路をくだっていく我々。


3分ほど下っていくと遠目から磯場が見え始めるのだが、我々はそこで驚愕の光景を目にすることとなる。


誰もいないと思い込んでいた磯場にヘッドライトの灯りがうごめき合って幻想的な感じになっていたからだ。


が、それは磯場にまだ人が入っていることの証明でもあった。



~もう堤防でいっか・・・・~



ここにきて我々は磯場での釣りを完全に諦めたといっていいだろう。


明日の朝また来てみよう・・・


しかし今日は仕掛けも釣り場もロストするし、まだ本域で釣りができてない気がする。


我々は車に戻り波浮と岡田の堤防に向かいサバを追加したところで翌日に備えて就寝した。


全てを明日にかけたのだが、これはいつも疲れて午前便の船の時間まで泥のように寝ることが多い我々からすると非常に珍しい決断だった。




 翌朝、まだあたりも真っ暗な時間にモゾモゾと動き出した我々は昨日の釣具をまんま積んだ悪臭漂う車に乗り込み、泉津の地磯に再々リベンジに向かった。


いつもの停車場が見えてきたが、先に車はいないようだ。


釣具を降ろす前に磯場の様子を見て見ようと手ぶらで崖を降っていくと、昨日賑わいをみせていた団体はいなくなりいつものごとく閑散と静まりかえった磯が姿を見せた。


これでようやく本腰をいれて釣りができるぞ。


3人のモチベーションは最終日の船便直前にしてマックスを迎えることとなった。







うっすらと空に明かりがさしはじめる。







磯場に入ると朝マズメのいい時間帯に差し掛かっていた。







手前の平場から仕掛けを投入しはじめるナカムラ氏。







奥ではミヤナガ氏新調のトロロケットとイングラムレッドエディションのレッドコンビが本領を発揮し始めた。


ワタシも彼のタックルを借りて投げてみたけど、新品のWM60を投げている感覚と全く一緒だったね。


しばらく仕掛けを投入しているとこの磯定番のイサキとメジナがあがりはじめた。


イサキとメジナは同じ棚だがイサキは70m以上投げないと釣果が出ずらい。


丸アブ型からレボにまだなじめないのかあまり釣果が好ましくないミヤナガ氏はまだ飛距離が思ったように伸びず、イサキをあげていないようだ。







魚をかけたナカムラ氏のイングラムがしなる。


ワタシも二人を横目にイサキをポツポツあげていたが、イサキを生かしておくため磯にできた天然のイケスにイサキを放っているとそれに紛れてイサキとは違う魚が泳いでいることに気づいた。


よくよく確認してみるとそれは30cmそこそこのハマフエフキダイの幼魚だった。


なぜこんなところにハマフエフキが・・・


奥まっているから波にさそわれて自然に入ったとは考えにくい・・・恐らく前日入っていたフカセの団体が外道としてあげたものを放ったものだろう。


磯場にできたイケスにこういった自分の狙った魚ではない外道(フグやアイゴ等が多い)を適当に放って放置していく人間が多いが、水位もなく陽に当たると水温が高くなってそのうち死んでしまうのでやめて欲しい。


ハマフエフキの幼魚クセがなくて美味いのに・・・グレ狙いだと外道扱いなんだろうなぁ。


ワタシは美味しくいただいちゃうけどね!


美味しいお魚を思いがけず手に入れたワタシは先日のサバに加えてイサキを追加したところでお腹いっぱいという感じだった。


早朝から午前便までの短いアタックだったがそれなりの釣果をあげることができた。


ただ足元に生かしておいたイサキが波にさらわれて半分いなくなっていたのは災難としか言いようがなかった。


ミヤナガ氏とナカムラ氏もその後イサキを追加し、船便の時間が近づいたところで納竿となった。







良型のメジナ、イサキと救出したハマフエフキダイの3種類に加え、先日堤防であげた良型のサバが加わった。


食卓を潤すには十分な釣果だったと言えよう。


くしくも青物には出くわさなかったが、次回は禁じ手の“泳がせ”でもやってみようかしら。







磯釣りの外道として捨てられていたハマフエフキダイは後日湯引いて刺身にしたが、ほんのり甘く、しっかりとした食味があり非常に上品な味わいだった。


これは伊豆大島の中でも5本の指に入る美味さだと勝手に思っている。


伊豆大島で美味しいお魚は“天然のイケスから救出された外道”だった。


今度本気でタマン狙ってみようかな・・・





ただ思うのは、魚は“種類に関わらず”食わないのならリリースしてほしいということ。


さてお次は初島釣行編になります。




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