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執筆者の写真籠師会

イングラム遠投(宇崎日新)三銃士の巻。伊豆大島の地磯に現る巨大生物救出劇。




 ナカムラ氏が宇崎日新イングラム遠投を入手したという情報は前々から聞いていた。


そう、数ある遠投竿のなかでイングラムをワタシが猛プッシュしていたというのもあるけど、ナカムラ氏が揃えるとなると今釣行でイングラムが3本揃うのである。


ワタシがイングラム・ブラックエディション遠投両軸、ミヤナガ氏がイングラムレッドエディション遠投両軸、ナカムラ氏がイングラム遠投。


これぞ正しくイングラム三銃士。


両軸ではなくあえてスピニングを選んだナカムラ氏はまずは遠投竿に慣れるということを名目に掲げているようだ。


使いやすさに加え、堅牢性と遠投性を兼ね備え文句なしのオールラウンド竿としてプッシュできる竿はイングラムを加え数えるほどしかない。


まぁ遠投竿のラインナップ自体も数えるほどしかないんだけど。


柔らかすぎず、硬すぎず、竿のクセもなく非常に使いやすいというのも親しみやすい要因だろうね。


そして、あまり折れた・・・とか、ガイドが・・・とかそういう負の情報を耳にしないのもイングラムの特徴なんだよね。


しかし竿クラッシャーとして名高いミヤナガ氏から竿を守り切れるか、という課題がのしかかっているナカムラ氏は、半径3m以内に竿を置かないという注意事項を遵守する必要性に迫られているんだから悲惨だ。


なんせナカムラ氏は過去に1本竿を折られているから余計に竿の保管に対して敏感にならざる得ない状況なわけで、気の休まる暇がないじゃない。





 はてさて新さるびあ丸(前回記事)を堪能し、伊豆大島に到着した我々は早々に餌を調達するためマルイチ釣具へと向かった。


オキアミ3kgを3枚と集魚剤を調達し、その日最初のポイントとなる岡田港へと向かった。


マルイチ釣具のポイントカードを過去のものとまとめると3枚分に達していたため、3000円分の買い物をポイントで購入することが出来たのは大きい。







若干の風が残るものの岡田は風裏になっており竿の出しやすい状態だった。


借りた車から積み荷を降ろし、いざイングラム三銃士が投入される。







奥でイングラム遠投を振るナカムラ氏と、その手前でイングラムレッドエディション遠投両軸を振るミヤナガ氏。


竿の試投げも含めてまずは堤防からの開始となった。


まだイングラムの性能を十分把握しきれていないナカムラ氏は大分遠慮して竿を振っているのかウキの位置が近い。


まぁいきなりフルスイングして竿先折ったなんてショッキングな事例もあるし、竿の限界とかってしばらく使ってないと分からないもんね。


ちなみにまだワタシは竿を振って折ったことはない。


運搬時とか収納時とか気づいたらとかそういうのはあるんだけど、スイングで盛大にバキッと折ったことはないね。


あんまり重い仕掛け使わないし、竿の限界までフルスイングしないし・・・


さてワタシはと言うと、コロナの影響でなかなか釣行に恵まれず、竿を振るのも久々だったもので慣らし感覚で竿を振っていたのだが、どうもブレーキを全てオフにするとバックラしそうな気配があったのでマグブレーキを3メモリほど入れていたわけであります。


リールもしばらく置きっぱなしでオイルが染みわたっているのかなかなかいい具合で道糸を放出してくれてたね。


何投か仕掛けを投入しても全くウキにアタリが出ないからもはや投げ練場と化していた。


その後もアタリは無く、陽も昇って暑さが増してきちゃったから早々に岡田を後にして泉津の地磯に向かった。







道のり険しい泉津の地磯。


急こう配で足場が悪く、うっかり足を滑らしたら滑落の恐怖もあるポイントだが、そのせいもあってか他人とポイント被りしたことの無い絶好の貸切ポイントだ。


1投目からウキが沈む豊漁場で、ここで釣果が無かったら伊豆大島の釣果は無いものと思ってもらってかまわない。(言い過ぎかな・・・)


さてそんな地磯でイングラム3本がどれほどの釣果を出せることやら。


奥からミヤナガ氏、ワタシ、ナカムラ氏というポジションで仕掛けを投入した。


先陣切ってウキを沈めたのはワタシだった。


お馴染みのコツコツとした引きに、すぐに観念して海面をバタつかせる例の美味しいお魚。


そうイサキ。


もうこのお魚は伊豆大島の遠投カゴ釣りにおける定番中の定番でしてね、ましてやこの旬まっただなかの梅雨イサキですから、こんなに嬉しい釣果は無いわけなんですわ。


嬉しさを噛みしめながらイサキをあげると、地磯にできた自然のイケスにイサキを放って次のアタリを待つ。


さて早くもイサキのフィーバー状態かと思いきや、数匹イサキをキープした後ウキに鋭いアタリが。


軽く竿を合わせると明らかにイサキとは違う重みのある引き。


断続的な引き方ではなく、道糸をグングン引っ張っていくような青物系のアタリ。


大型のサバでもかかったかと思ったがそこまで左右には走らない。


ジリジリと巻いてくると思ってもいない魚の色が目に入ったからアッ!っとなってしまった。


マダイ!?いやマダイにしちゃ魚体が細いな・・・


ちょっと重いけど抜き上げちゃえっ!







う・・・ナニコレ・・・


赤サバ!?


ワタシの知識をフル導入しても赤サバしか思い浮かばなかった。


が、後に詳しく調べたところオオグチイシチビキという深海系の珍魚であることが判明した。


赤サバで完結しそうだったけど、背びれが直線的だから調べといてよかった。


“知っていたら学者級”らしいからそんな釣れるもんじゃないのかね?


食べたら美味しいらしいから持って帰ることにしたけど。


サイズは40cm弱といったところ。


この後ワタシは同じくらいのサイズのメジナもあげている。







いい引きだったけどまだまだ抜き上げサイズヨ。







ミヤナガ氏のレッドエディションもポツポツとイサキをかけてたね。


そんな中、なかなか釣果に恵まれずにいたのが新調したイングラムを振るナカムラ氏だった。


やはり竿に遠慮しすぎているのか飛距離が伸びずイサキの棚まで仕掛けが届いていない様子だ。


ナカムラ氏の仕掛けをチラッとみると、パッと見ただけでも改善点がチラホラ。


まずはダイワのカゴと天秤だね。


ダイワのカゴは号数に比べて自重が重いから餌を詰めると18号とか20号相当になっちゃうわけで、そりゃ竿に遠慮しないと投げれないわけだ。


カゴをアッパーロケットに変更して、あとはハリスが絡みそうな天秤をワタシ自前の天秤に変更っと。


そして針が太ハリスとかルアー用の環付きになっていたから平打ちに変更っと。


遠投カゴ釣りのコンサルティングできそうだなこりゃ。


これでイサキ釣れなかったらもう呪われてるよ・・・


そして新たな仕掛けで投入すると・・・







か、かけたぁああ!笑


竿の持ち方といい、左巻きのリールといい元ルアーマンスタイルが抜けきってないナカムラ氏。


イサキを引いてくる様はまるで80gのメタルジグを巻いているかのようだった。







そしてこの満面の笑み。


理にかなった仕掛けで釣った正に実践的な釣果だったと言えよう。


その後も我々はポツポツとイサキを釣り上げ、イケスにはお土産用のイサキがうようよとうごめいていた。





ハプニングは急に訪れたのである・・・





 お昼を過ぎてさすがの暑さでダウン気味だったワタシは二人の釣りをしばらく眺めながら波打ち際で涼んでいたのだが、途中ミヤナガ氏が車に荷物を取りに行くと言うので、ワタシは彼のレッドエディションを借りて釣りをはじめることとなった。


ミヤナガ氏の愛用リールはVIPプロジェクトというメーカーのPW631というアブアンバサダー6500CSのOEMにあたるリールで丸アブを久しく使っていなかったワタシはたまに借りてはその感触を懐かしんでいたのであります。


ミヤナガ氏が磯から姿を消し、ミヤナガ氏の仕掛けを投入しVIPリールの感触を楽しみつつウキを流していると・・・


ウキをポンポンと叩くような不思議なアタリが目に入った。


軽く合わせるとこれまで体感したことの無い強烈な引きがワタシを襲ったのである。


根がかりを引っ張っているかのような重みで、リールを巻くとグイグイと竿をふんだくるような強引な引き。


定置網の重いロープをかけた時と同じような引きだが、竿先は明らかに生物反応を示すようにグングンとしなっている。


途中軽くなるころ合いをはかってリールを巻くが一向に上がってこない。


ワタシはこの時点で超大型のマダイ、若しくは60~70cmクラスの超級イスズミではないかと予想していたがその予想をはるかにこえるかのような引きだった。







パワー系であるワタシでさえ竿を立てるのが困難なほどの突っ込み。


道糸ナイロン6号、ハリス3.5号で果たして耐えきれるか・・・


さすがに気配を感じ取ったのか二人は釣りを一時停止してワタシのファイトを見守る形となった。


まぁ私も「これはデカい・・・」とうなっていたからだろうな。


15分ほどかかっただろうか、ジリジリと丁寧に寄せて、ようやくウキが見え始めたなというころ合いでようやくかけたモノが見え始めた。


どんな魚体があがってくるのだろうと息をのんでいたが、ヒレらしきものが見え始めた途端意気消沈してしまった。


コレ魚じゃないな・・・・







海面をうごめく大きな影。(動画のスクショのため画質悪)


それは体長60cmはあろうかというウミガメだった。


そういえばこの磯、毎回釣りをはじめると顔を出す居付きのカメがいるなと思っていたが、まさかかってしまうとは。


ワタシは正体が魚では無かった無念さを忘れ、カメを救出しなければという気にかられていた。


ラインカットなどという選択肢はない、もし付け餌を食べて口に針を掛けてしまっていたら必ず外さなければ・・・


しかし運よく針は口ではなく前脚のヒレにかかっているようだ。


なんとか手前まで寄せてタモ網に入れば針を外せる。


と思ったがタモが無い!車の中だ!


ミヤナガ氏には大変申し訳ないが、車からタモを持ってきてもらうしかない。


往復となると大変つらい磯だがカメの救出のためなら仕方がない。


ワタシはミヤナガ氏がタモを持ってくる数十分の間カメをかけたまま維持せねばならなかった。


カメは少しでも手を緩めるとものすごい勢いで海の底へと潜ろうとするから、その都度ラインを出しては巻いてを繰り返し引きに耐えなけれなならなかった。


しかしここでラインをカットさせてしまえば努力は水の泡である。


救出しようとする努力とは相反にカメの抵抗は激しく、ミヤナガ氏のタモを待たずしてハリスが切れるのではないかと危惧したがなんとかミヤナガ氏のタモの到着まで持ってくれたのが幸いだった。


ミヤナガ氏に竿をたくしワタシはタモをかまえカメを網に入れようとするがこれがなかなか難しい。


手前の浅場には波が打ち寄せてタイミングよく合わせないとカメはすぐに沖へ流されて抵抗をはじめてしまう。


数度のトライの後ようやくカメがアミに入るとどっしりとした重みが手にのしかかった。


想像している以上に重い・・・


ウミガメってスゲ~重いのね、20kg近くあったんじゃないかな。







数十分の格闘の末ようやく救出されたカメ。







ハリがかかっていたのは右前脚の付け根だった。


ハリを外し、アミに入れたまま流れの緩やかな水面に戻すと元気よく海の底に戻っていった。


いやぁ、この磯に居付いていた見慣れたカメだったからまたこの磯に戻ってきてくれればいいのだが。←次の釣行で1か月後同じ磯に来たらいつも通り顔出してくれました。元気そうでよかったぁ。


しかし何かしらの大物を掛けるのは大体ミヤナガ氏の竿なのだが、ワタシが彼の竿を借りて1投目でカメがかかろうとは夢にも思っていなかった。


カメを救出してホッとしたのはつかの間、その後にどっと疲れが襲い掛かったワタシはその後すぐに竿をたたんでしまったのね。







泉津に陽が沈む。

 

二人はその後もしばらく粘ってイサキをあげていたようだけど、夕飯の時間も迫ってくるころ合いで竿をたたんだ。





 元町で夕飯を食し、ノンストップのまま夜釣りという流れになったがさすがに疲れがのしかかり、急にカゴ釣りを再開する気にもならなかったので途中落とし込みで底物なんて狙ってみたけど反応は無し。


結局いつものごとく岡田で夜のカゴ釣りという流れになった。


そしてその後イングラム三銃士の闘いは10時近くまで続いたという。


ちなみに岡田での釣果は全てイサキという釣果だった。


ナカムラ氏もようやく竿に慣れてきたのか力まずに飛距離を出せているようだった。


イサキしか釣果が出ないのではというころ合いでお土産に十分なイサキを追加し、我々は竿をたたんだ。







40cmクラスのグレ、赤い深海魚を筆頭に旬のイサキが数多く並んだ。


ちなみにこの赤い深海魚はアクアパッツァとして食されたが、絶品だった。







今回の釣行の目玉は異論無くウミガメであったが、伊豆大島定番の釣果にも恵まれていい釣行になったんじゃないかな。


これから夏本番、伊豆大島に青物がめぐってくるシーズンにまた釣行に行かねば。




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